イレイスタイム長い長い終わり無き夏休みを終え太陽もピークを過ぎ去ったかのように暑さも引き涼しさを覚えるようになってから早一週間。俺は今机に向かってある計画を練っている。 何故こんな事してるんだろうね。 しかし朝比奈さんの頼みとなれば俄然でてくるやる気も違う。 さて、さっさと計画を練ってしまおう。 「キョンくん、ごはんーーー」 妹が俺の体を揺らしている。 お願いだ。寝かしてくれ。それに晩飯はもう食ったぞ。 「もう朝だよー」 何っ!?本当だ。 俺はあの後眠ってしまっていたのか? ヤバイ。これは今日中に渡さねばならな……い? あれ?出来てる……何故?ホワイ。 まぁこの際どうでもいい。 とりあえず飯でも食べに行こう。 そして俺は階段を下りていった。 「よう、ハルヒ。」 自分の席についたらハルヒと話すことが日課となってしまっている。 現に今も考えるよりも先に声をあげている。 「ねぇ、キョン。」 何だ。 「前にあんたさ、有希が宇宙人でみくるちゃんが未来人で古泉くんが超能力者って言ってたよね。」 それがどうした?それは俺のちょっとしたジョークさ。 「それで前部室に言ったときあんたと有希が話してるのが聞こえてさ」 盗み聞きか?良くないぞ。 「有希が情報統合思念体がどうとか言っててさ、なんだったの?あれ。」 小説の中の話さ。気にすることは無い。 「あとあんたと古泉くんの話も聞いたんだけど…」 どれだけ盗み聞きしてるんだ?ちょっとヤバイかもしれないな。 「閉鎖空間がどうとか神人がどうとか真剣な顔して言ってたんだけど、それは何?」 さて、どうしたものか。其処まで聞いているか。 「ハルヒ。お前が言っているそれは全て小説の中の話だ。決して事実ではないぞ。」 「解ってるわよ。ただ気になっただけ……ねぇ、あんた、ジョン・スミスって知ってる?」 一瞬俺の体は硬直したね。何故急にその話題を振ってくる。 「なんかね、ジョン・スミスとあんたが凄い似てる様な気がして……」 そんな事は無い。他人の空にさ。 「じゃあ何でそんな声震えてんの?」 ぐっ、鋭い。こいつと心理戦などやっても俺に勝ち目は無い。 どうするか。 「変な顔。」 そう言ってハルヒはまた窓の外に目を向けた。 確かに変な顔だったろうから否定はしない。 それにしてもなんか今日のハルヒは憂鬱気味だ。 そろそろ何か起こりそうな気がする。 放課後、俺はSOS団アジトで朝比奈さんにあの紙を渡してから古泉とずっとチェスをやっていた。 コイツはこういったアナログゲームが好きなくせに一向に強くなる気配は無い。 今も俺の巧妙な罠に気づかず黒のルークで俺のビショップを取っている。 「涼宮さん遅いですね。」 あいつは帰ったよ。憂鬱を理由にしてな。 「そうですか、近々また何か面倒なことが起こらなければいいのですが……」 あいつが憂鬱になった時は大抵何か起こるさ。お前にとって面倒なことがな。 「それはあなたにも言えるのではないのですか?」 と言って黒のクイーンで俺のナイトを取る。 こうも見事に罠にはまってくれるとわざとではないかと思えてくる。 俺はビショップでクイーンを取り同時にチェックメイト。 「僕たちは何も起こらない事を祈るばかりですね。」 と言いながらチェス版を片付けている。 さて、じゃあ俺も帰るか。 「話がある。」 と言い長門が俺を引きとめた。 「話がある。一緒にきて欲しい。」 勿論行くさ。長門の頼みとあれば断るはずが無い。 「………ありがとう」 そういって長門は少しだけ微笑んだような気がした。 長門の家に通されお茶を入れてもらってそれを俺が飲む。 毎回恒例のパターンとなっている。 しばしの沈黙の後長門が口を開いた。 「情報統合思念体は意識を急進派に統一した。」 急進派って朝倉が属してたアレか? 肯定の合図 じゃあ俺はまた命を狙われるのか? 否定のサイン 「私がさせない。」 頼もしい限りだな。 しかし今長門は何所に属しているんだ? 「私は急進派に属する事を拒否した。よって私は裏切り者。何所にも属していない。」 「……………」 また沈黙が流れた。 オイオイ、一体情報統合思念体とやらは何を考えているんだ? じっくり観察してればいいものを…… 「とりあえず今日は帰るよ。」 「そう………」 「じゃあな。長門。」 そう言い俺は長門家を後にした。 次の日、教室に行くとハルヒが居なかった。 朝から何所かに行くなんて珍しいなとか思ってたらホームルームで休みだと判明した。 風邪らしい。放課後見舞いにでも行ってやるか、と思ったがハルヒの家の場所を知らないし態々教師に聞くのも面倒なのでやめておいた。 明日になればまた元気に登校してくるだろう。 そして放課後ハルヒが居ないので恐らくSOS団の活動は無いのだが俺の足は自然と部室に向かっていく。 で、念のためノック。これも恒例だな。体が勝手に行ってくれる。 「どうぞ。」 古泉の声だ。 ここで考えられるのは部室に居るのは古泉1人か古泉と長門の2人かだ……がそんな事はどうでもいい入ってしまえばわかることだ。 そして俺はドアをあけた。 古泉1人だった。 「今日は涼宮さんは?」 今日は休みさ。風邪を引いたらしい。 「では帰りにお見舞いに行きますか?」 ハルヒの家の場所知ってるのか? 「いいえ、でも長門さんなら知ってるのではないのでしょうか。」 それもそうだな。あいつが知らないことがあったら教えて欲しいものだ。 「それよりも、あなたに話しておきたい事があります。」 お前もか、古泉…… 何だ。 「実は機関の上部が強行手段にでる事を決定しました。」 「……………」 「恐らく涼宮さんを狙ってくるでしょう。」 俺の次はハルヒもか…… で、お前はどうするんだ? 「僕は勿論その命令には従えません。その代わり反逆者として捉えられますけどね。」 そんな事はどうでもいい。 それよりハルヒはいま無事なのか? 「解りません。しかし今涼宮さんがかなり危険なのは確かです。」 じゃあとりあえずハルヒのうちに行ってみるか。 もうすぐ長門もくるだろうし。 「……………」 長門がきた。 そして今俺と古泉と長門はハルヒ家に来ている。 朝比奈さんは中々こなかったので本日のSOS団活動終了の旨を記したプレートをかけてきた。 それで問題は無いだろう。 そして俺は代表してインターホンを押す。 暫くして誰?と聞こえてきた。 恐らくこの声の持ち主はハルヒだろうが俺は念のため敬語で言う。 「ハルヒさんの友達の者です。ハルヒさんが風邪だと聞いたのでお見舞いに来ました。」 「その声、キョン?」 やはりハルヒだったか。 「そうだ。入れてくれないか?」 「ちょっと待ってて。」 といって切れた。 そして暫く待たされた後扉が開いた。 「どうしたの?皆して。あれ?みくるちゃんは?」 「朝比奈さんなら今ごろ家でお茶でも飲んでいることだろうよ。それと風邪はもう大丈夫なのか?」 「うん。ホントは全然元気だったんだけど親がそろって大事をとって休めって言うから仕方なく休んだだけで全然元気。とりあえず入って。」 そして玄関前での少しの会話も終え中に入っていった。 そしてハルヒの部屋に通されたが、少し以外だ。 ハルヒのことだから良く解らない記号ともとれる文字が書いてある紙やらなにやら得体の知れないものが大量にあると思ってたのに普通の女子高校生らしき部屋だ。 「うるさいわね。あたしだってそうしたかったわよ。だけど親がうるさいから仕方なく普通にしてるの。」 「まぁなんにしろ元気そうで良かったです。安心しました。」 で俺たちはあらかじめ買っておいた花を渡して今日は帰った。 そして次の日 俺はいつも通り妹に起こされて飯を食ってハイキングコースを歩いて教室に入った。 「よう、ハルヒ。無事復活か。」 「あったりまえじゃない。本当は昨日だって来れたのに……」 まぁいいじゃないか、一日くらい休んだってどうって事無いだろう。 「まぁいいわ。それと今日は重大発表があるから遅れないでよ。」 お前の重大発表は碌な事では無いから心配なんだ。 一体今度は何だ? と言おうとしたまさにその時! 担任の岡部が入ってきた! そうして半強制的に会話は打ち切り。 朝のショートホームルームが始まった。 そして放課後 俺はある場所に向かう。 部室ではない。 呼び出しを喰らったのだ。 差出人不明のなにやら怪しい奇怪な記号がプリントしてある封筒が俺の下駄箱に置いてあった。 この封筒で差出人はバレバレでは無いだろうか。 どう考えてもハルヒとしか思えない。 しかしハルヒが態々こんな回りくどい方法を使うとは思えない。 とりあえず俺は指定された場所に向かった。 そこにいたのは……やはりハルヒだった。 しかし何故態々こんな回りくどい方法を取ったんだ? 「それは……まあいいじゃない。」 まぁどうでもいい事だが…… 「それよりも、さっきみくるちゃんについて話を聞いてきたわ。」 何のだ。言ってみろ。 「みくるちゃん未来人だってね。あんたが言ってた事は本当だったのね。」 朝比奈さんに何をした。一体どんな尋問だ。 「別にそんなんじゃないわよ。聞いたら教えてくれたの、鶴屋さんが。」 鶴屋さんが?何故。 「さぁ、あたしがみくるちゃんってもしかして未来人?ってきいたら、そうだって。」 あの人が…… 「でついでに古泉くんと有希についても聞いてきたわ。古泉くんが超能力者で有希が情報統合思念体によって作られた対有機生命体ヒューマノイド用インター・フェースだってことも。バッチリね。」 聞いたのはそれだけか? 「うん。何で?もしかしてあんたも何かあんの?」 いや、俺は普遍的な普通の高校生だ。誓ってもいいぞ。 「じゃあ何でそんな事聞くの?」 まぁいいじゃないか。禁則事項さ。 「まぁいいわ。でさ、あんたジョン・スミスって知ってる?」 一昨日とは違う悪戯気味な声だ…… くそ、誰から聞きやがった。 「あんた、ジョンでしょ。」 「……………」 さて、どうしたものか。 とりあえず部室に行ってみようか。 この問題は俺1人でどうこうできる物では無い。 「ってことでハルヒ。俺は今から部室に行ってくるから、どこかでゆっくりと時間を潰しながら来てくれ。」 「いやよ。何でそんなこと態々しなきゃいけないの?」 「お願いだ、ハルヒ。SOS団団長以外にとっては今かなり危険な状態なんだ。だから団長無しで一度会議を開かせてくれ。お願いだ……」 「うん……そう…解ったわ。その代わり今週ずっと罰金だからね。」 そして今ハルヒを除いたSOS団メンバーが一堂に会して重役会議を開いている。 「涼宮ハルヒが私たちの秘密に気づいた」と長門。 「それは困った事態ですね。もう僕たちではどうしようもありません。」と古泉。 泣きそうな顔で俺を見ている朝比奈さん。 だけでなく全員が俺を見ている。 さっきも言ったが俺はあいつに何も言ってないぞ。 言ったのは鶴屋さんだとハルヒも言ってるし。 「それにしてももう僕たちには何も出来ませんよ。幸か不幸か涼宮さんは自分の力に気づいていません。だから涼宮さんが気づいた以上僕らはこれ以上此処にはいられないでしょう。」 それは逆を言えばハルヒに自分の能力を気づかせてお前らと一緒にいたいと思わせれば此処に残れるってわけだな。 「そこに気づいてくれるとは。説明する手間が省けてありがたいです。ただ、涼宮さんが自分にそのような力があるとはそう簡単に信じてくれるとは思いませんが……」 「確率は50%」 ずいぶんと低いな、五分五分かよ。 「さらに気づいたとしてもその後この世界を維持し続ける可能性は極めて低い。」 「どのくらいですか?」 この会議で朝比奈さんが始めて発言した。 しかし声は凄い震えていたが…… 「1%」 「………………」 沈黙が流れる。 当たり前だ。1%だと!?ふざけてやがる。 「随分と狭き門ですね。まさか此処までとは……しかし、此処に僕がいないと今の機関は何をするか……それに何だかんだいって僕は此処での生活を気に入っているのですよ。僕としては涼宮さんの安全と僕のためにもその確立にかけて欲しいものです。」 と古泉が言うと今度は長門が口を開いた。 「私という存在もこの生活を何時までも続けていたいと感じている。」 そして最後に朝比奈さんが 「私も、もっと皆といたいです。たとえそれが反逆行為だとしても……」 OK。決まりだ。ハルヒにかけるぜ。 後ろから厳密に言うとあなたにかかっているのですがね。と古泉の声が聞こえてきたがそれはスルーすることにした。 「なぁ、ハルヒ。」 「何よ。」 「実はお前は特別な力を持っているんだ。」 「………は?」 と言いハルヒは変な顔で見てくる。 「何言ってん━━━」 「おまえは何もないところから情報を作り出す特別な力を持っているんだ。」 「……………」 「信じてくれ。お前が信じてくれないと長門も朝比奈さんも古泉も此処から去らなければならないんだ。」 「どういうこと?」 「お前があいつ等が普通の人間ではないと気づいてしまったから此処にはいられないらしい。だがお前が覚醒すればあいつらの上部もむやみに手を出せなくなる……お前が望めばその機関の存在自体を一瞬にして消せるほどの力をお前は持っているんだ。」 「あたしが……?」 「そうだ。お前が今まで望んできたから長門や朝比奈さんや古泉が此処にいるんだ。だから、お願いだ。信じてくれ……」 「………わかったわ。それで皆が此処にいられるならどんな事だって信じるわよ。」 さて、これで第一の関門は突破か。 問題は二つ目か。 「そこでだ、ハルヒ。お願いがある。」 「なに?」 「その力で世界を絶対変えないでくれ。色々と不具合が起こる。」 「多分大丈夫。」 それが一番不安なんだが…… そして中庭での会話も終え俺たちは部室へ戻った。 そして成り行きを説明。 そういえば今日は長門本読んでなかったな。 それほど事態は深刻と言う事か。 そしてすべき活動を終えたSOS団団員はそろって途中まで下校した。 そして俺はそのまま家へ直行。そして自室のベッドに倒れこみ束の間の休息を味わっていた。 朝。いつも通り朝日で目を覚ますか妹がダイブしてくるかと思ったがどちらでもなかった。 カーテンを開けても明るくない……どころか、灰色だ。 「何てこった!ハルヒの奴。」 とりあえず古泉を探すほかあるまいと思い携帯を手にと━━━れない。 いつも置いている場所に携帯がない。 ならばと思い下に下りると固定電話もなかった。 くそ、何てこった! そして俺は今何故か学校に向かっている。 そこに行けば誰かに会えるような気がした。 それにあそこにはパソコンもあるしな。 「やあ、遅かったですね。」 古泉か?最初に聞かせてくれ。何故俺たちは閉鎖空間にいるんだ? 「此処は閉鎖空間ではありませんよ。涼宮さんの創りだした新しい世界です。現に此処では僕の力は使えません。」 新しい世界…… ハルヒの奴、やはりやったか……でそのハルヒは何所にいるんだ? 「来ていません。恐らく今ごろ夢の中で世界を作り変えている事でしょう。」 てことは此処はハルヒが眠ってる間に無意識に創りだした世界か? 「ええ。そうとしか思えません。」 ハルヒ……起きてても寝てても碌な事しないな。 「まぁとりあえず僕たちはこの世界を元に戻す術を探せばいいのですよ。」 それなら長門に聞くのが早かろう。長門は何所だ。 「長門さんなら、あそこで眠っています。」 起こせばいいだろう。 「それがいくら呼びかけても起きないのですよ。まるで精神が崩壊してるように固まったままで……」 じゃあどうするんだ。何かいい方法でもあるのか? 「残念ながら僕は解りません。」 じゃあ残るは朝比奈さんか…… 「朝比奈さん。何か言い案ありますか?」 「えっと……1つだけ。」 これは驚きだ。古泉でもどうしようも出来ない状況を朝比奈さんが…… 「この世界が涼宮さんによって作られたのなら、涼宮さんをこの世界に連れて来て元に戻して貰うという方法が……」 「なるほど、その方法なら確かにこの世界を元に戻す事が出来ますね。しかし、この世界と今までの世界の時空空間が正常に繋がっている可能性は極めて低いですよ?失敗すれば何が起こるかわかりませんし……」 「それでも今はこれしか手段は残されていないと思うんです。」 ちょっと待ってください。一体何をしようとしているのですか? 「一言でいうと過去に行って涼宮さんを連れて来てこの世界を元の世界に戻して貰うと言う訳です。」 そこで過去に行く段階でこの世界と元の世界が正常に繋がっていない可能性が高くて正常に過去にいける可能性が少ないと、それで失敗すると何らかの異常が発生すると…… 「……………」 古泉、そこまで驚く必要は無いだろう。 俺だってこれくらいの事なら抽象的になら理解できるさ。 「ああ、失礼しました。あまりにも以外だった物で。」 殴るぞ。 「そう怒らないで下さい。笑っていた方が楽しい気分に慣れますよ。」 「古泉くん、どうします?」 「なんでしょう。」 「私たちと一緒に来ますか?出来れば長門さんを見ていて欲しいんだけど………」 「僕は長門さんを介抱してますよ。」 「解りました。ではキョンくん。行きましょう。」 かくして俺と朝比奈さんは時間遡行することになった。 「じゃあキョンくん目を瞑って下さい。」 勿論ですとも。 「では行きます。」 そして俺はいつもとは違う感じがした。 そして気を失った。 次に目を覚ました時世界が横向きだった。 そして俺の頭の右半分がなにか柔らかいものに埋もれている。 「キョンくん……そろそろ起きてくれないと……」 そういわれて体が無意識の内に起きる。 そして状況確認。 なにぃ!俺は朝比奈さんの膝枕で寝ていたのかっ!!何て勿体無い事を…… 「キョンくん……あの女の人誰?」 声が震えているのは気のせいだろうか。 俺は朝比奈さんの視界の先にいる女性を見た。 「……なっ!」 そこにいたのは朝比奈さん(大)だ。 思いっきし朝比奈さん(小)と鉢合せしてやがる。 「何かあたしに似てるような……」 「そんな事ありません。きっと他人の空にですよ。ええ、そうに違いありません。」 信じて貰えなかっただろうな。 まぁあんだけ動揺してたら仕方ない。 「ふふ、久しぶりね、2人とも。」 2人とも?と言う事は此処で2人は会っていたと言う事か。 「ええと……あなたは?」 「私はあなたよりももっと先の時間平面からきた朝比奈みくるです。」 「じゃあ、あなたは未来の私……?」 「ええ。これが未来のあなた。何時かは禁則事項でいえませんけどね。」 「それよりも何故あなたが此処にいるんですか?」 「それは私が此処に来てあなたたちを手伝うのが規定事項だったから。」 「では俺たちは何をすればいいのでしょう。」 「まずはこの時間の涼宮さんを見つけなければいけません。」 「ではまず此処が何時だか教えてくれないでしょうか?」 「はい。9月10日の午後9時丁度です。」 と朝比奈さん(小)。 「午後9時なら家にいるはずですね。行きましょう。」 「まって、この時間だと涼宮さんのご両親も帰ってきてるんじゃ………」 では何故こんな微妙な時間にしたんですか?もっと楽に実行できる時間があったろうに。 「それは、恐らく元の世界と改変された世界の時空間がねじれていた為でしょう。その為誤差が生じた物だと思われます。」 と今度は朝比奈さん(大) 「とりあえず此処で悩んでいてもしょうがないから一度ハルヒのうちに行ってみましょう。」 そして今俺たちはハルヒの家の前にいる。 前と同じ用にインターホンを押す。 「誰?こんな時間に。」 と明らかに迷惑そうな声が響いた。 「ハルヒか?俺だ。用が在って来たんだ。入れてくれないか?」 「何よ、用って。何でこんな時間に……」 「とりあえず朝比奈さんもいることだからまずは中に入れてくれないか?」 「みくるちゃんも?何でこんな時間にあんたと2人で━━━」 「とりあえずいれてくれ。」 というとインターホンがきれ暫くしてドアが開いた。 「ハルヒ、今日家族の人は?」 「いないわよ、旅行に行ってる。」 と朝比奈さん(大)を見ながら答える。 「涼宮さん1人残してですか?」 と朝比奈さん(小) 「そうよ。」 と今度は朝比奈さん(小)を見ながら答える。 「それにしてもみくるちゃんが此処まで成長するとわね……驚きだわ。」 ハルヒ、目がいやらしい。また変なこと企んでるんじゃないだろうな。 「あたしが何時変なことしたって言うのよ。」 一年中何時でもお前のやる事は変気回りないのさ。 「まぁいいわ、それで用って?」 ああ説明しなければならないのか。 面倒だが此処は省けないな。 そしてすべてを話し終わった後、ハルヒは頷いた。 「要はあたしがこの時間から離れてその改正された世界を元に戻して、そしてまた戻ってくると……」 あの説明で解ってくれてありがたい。 「じゃあ早速行きましょう!善は急げって言うでしょ!」 急がば回れとも言うがな…… てな感じで本日1度目の時間遡行は無事終了した━━━と誰もが思ったその時!!! 「何してるの?あなたたち。」 俺は絶句した。 何故お前が此処にいる。 「何であんたが此処にいんの?転向したはずでしょ。」 ハルヒも驚いているようだ。 それもそのはずだ。 仮にも転校したはずの奴が此処にいるのだから。 そう、朝倉涼子が…… なんだってお前が此処にいるんだ!?。 「何で?私が此処にいたら悪い?」 「悪い訳じゃないけど……何時戻ってきたの?」 「たった今。」 俺の中に緊張が走る。 嫌な予感がする。 何故戻ってきた?何のために? 「それは勿論、あなたを抹殺する為よ。」 2度目の絶句。 くそ、またかよ。 オイ、ハルヒ。固まってないで助けてくれ。 お前ならこの状況を一瞬にして変えられるだろう。 「涼宮さんに頼んだって無駄よ。今あなたと私や他のインターフェース以外は動く事が出来ない。」 じゃあ長門なら…… 「長門さんは今ごろ私の仲間にやられてるでしょうね。どちらにせよもうあなたに未来は無いのよ。諦めて素直に死になさい!!!」 そう言ってナイフを俺に振りかざしてきた━━━が、そのナイフは誰にも当らず落ちた。 朝倉が故意に落としたのではない事は確かだが、では何故? その時、俺の前に1人の女性があらわれた。 「長門さん!?どうして此処に。」 そう、俺の危機を救ったのはまたしても長門だった。 「……………」 長門は朝倉を睨んでいる。ちと恐い。 すると朝倉の体が足から消え始めた。 「あーあ、またあたしの負けか。」 と言い切る前には消えてしまっていた。 「大丈夫?」 「ああ、ありがとな。」 「……………」 「あれ、朝倉さんは?え、何時の間に有希きたの?」 ハルヒたちが動き出した。 「……………」 長門は黙祷を通しているので代わりに俺が説明した。 勿論俺創作のフィクションが大部分だが。 「ふーん、なるほどね。まぁいいわ、早く行きましょ。」 そうだった、危く本題を忘れる所だった。 俺は朝比奈さんにアイコンタクトを送った。 朝比奈さんは頷き、 「では行きましょう。確りと目を瞑っていて下さいね。」 と言ってまたあの変な感覚に襲われた。 そして俺は目を開ける。 またあの灰色の世界だ。 ウンザリするな。まぁその代償として俺は朝比奈さんの膝枕で眠っているのだからあいこだろう。 もう少し気絶した振りでもしていようか、と思ったが流石にそれはやめておいた。 そしてその判断が正解だった事に気づいた。 朝比奈さんが横から見ている。つまり俺はハルヒの膝枕で寝ていたと言う事か、よかった、ハルヒが目を覚ます前に起きて……… 「あたしならとっくに起きてたわよ。」 なら何故俺を起こさなかった。お前ならあの状況で俺を叩き起こしても可笑しくないだろう。 「そんなことしないわよ。あたしは誰かの睡眠を妨げるような事は絶対にしないって心に決めてるんだから。」 んなこと言ったって俺は━━━そこまで言って口を閉じた。 あれは夢なんだ。言ってはダメだ。 「俺は、何?」 いや、なんでもない。俺の勘違いだ。 「まぁいいわ。であたしは何をすればいいの?」 まずは部室に戻ろう。 きっと古泉や長門が教えてくれるさ。 「お帰りなさい、何も起こりませんでしたか?」 いいや、また朝倉が俺の命を狙ってきて驚いたさ。 まぁ無事だったから別にいのだが。 とは言っていない。 ハルヒや朝比奈さんは知らないのだ。 何を言われるか解らない。 それよりも今はこの世界をどうにかするのが先だろう。 「それもそうですね。では涼宮さん。今までの世界を思い浮かべてください。」 少し時間をおいてハルヒがいった。 「その次は?」 「その世界に作り変えるような感じで強く頭に思い浮かべてください。そうすれば元に戻るはずです。」 そして暫しの沈黙。 その後突然の視界の暗転。 そこから右半身に打撃を受ける。 「………痛っ!」 うっすらと目をあけると俺の部屋だった。 「夢……?」 どっから? まぁ明日になれば解るさ。 今は寝よう。疲れたからな。 そして俺は今教室にいる。 「なぁハルヒ。お前昨日何が遭ったか覚えてるか?」 「何?昨日はいつも通り部室で会議やっただけじゃない。」 「そうか。」 やはりか……まぁ放課後古泉や長門や朝比奈さんに聞けばいいか。 そして授業が始まった。 俺は昨日寝れなかっただけあって途中から睡眠モードに入っていたが…… そして俺は放課後になるや否や即効で部室に向かった。 そして俺はノックを忘れてドアを開け放った。 開けてからしまったと思ったが中にいたのは長門と古泉だけだった。 「待ってましたよ。長門さんが話があるそうです。」 長門が?昨日の事か? 「急進派が昨晩何者かによって衰退させられた。だからあなたの安全は暫くの間保障される。」 その何者ってのは誰なんだ? 「解らない。」 もしかして急進派の主力メンバーの1人に朝倉がいなかったか? 長門はなんでわかったの?と言う風な顔をしながらも肯定のサインを示した。 「それよりも昨日何があった?」 2人とも意表を附かれたようだったが正直に答えてくれた。 それはハルヒが言っていたのと同じだった。 やはり夢か。 まぁいいさ。忘れよう。 俺は明日の計画に備えて気を休める事にしよう。 俺と朝比奈さん主催のドッキリ計画を…… ジャンル別一覧
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